自然言語事例集 自然言語で書かれた文章について、興味深い用例を収集する。 高速FFT変換 概要 略語、特に頭字語について、略語中に含められているはずの部分を略語外で再度繰り返してしまうような用法。 「RAS症候群」とも。 (RAS は Redundant Acronym Syndrome の略なので、 S (syndrome) が被っている。) ハッシュタグ: #高速FFT変換 (#高速FFT変換 - Mastodon) 事例 DAC ケーブル (DAC = Direct Attach Cable) DAC は Direct Attach Copper であるとする説もあり、この場合 DAC cable は重複を持たない。 JIS 規格 (JIS = Japanese Industrial Standards) Standards は規格なので、重複している。  提供: https://mstdn.anqou.net/@roco/110751304493916366 PIN code (PIN = Personal Identification Number) code は実質的に number の意なので、重複している。 DIP パッケージ (DIP = Dual In-line Package) 提供: https://mstdn.nere9.help/@unic/111665007556870674 USB Full Speed 概要 固有名詞や規格名に「新」や「高」などの相対的な形容を含むことで、時代遅れになった、または今後なるリスクの高い名前。 ハッシュタグ: #USBFullSpeed (#USBFullSpeed - Mastodon) 事例 HD (High Definition), ハイビジョン High Definition (720i) 画質の名称。 1280×720〜1920×1080 程度のものを指すことが多い。これより低いもの (アナログテレビ水準の品質) は SD (Standard Definition) と呼ばれる。また、 1920×1080 でプログレッシブであるもの (インターレースでフレームあたりの走査線の数を半分にしていないもの) は FHD (Full HD) と呼ばれる。 4K ディスプレイが普及し 4K/8K の映像コンテンツも (ありふれたとまでは言わずとも) 珍しいものではなくなりつつある昨今(2023年10月現在)、もはや 1280×720 は全然 high ではなく、 Full HD も全然 full ではない。 USB Full Speed, USB High speed USB Full Speed (12 Mbit/s) 通信規格である USB の転送レートの名前。 USB 1.0 の Low Speed が 1.5 Mbit/s で、 Full Speed が 12 Mbit/s である。USB 2.0 になって High Spped (480 Mbit/s) が追加されたため、 Full Speed は実際めちゃくちゃ遅いということになってしまった。更に USB 3.0 では SuperSpeed (5.0 Gbit/s) が追加された。High Speed は相対的には20倍以上遅いものであり、もはや High Speed と呼びたい代物ではなくなっている。 新幹線 東海道新幹線 (1964年開業) 言わずと知れた高速鉄道。 今のところ世代としてはまだ新しいが、時代的には開業が1964年だからだいぶ古い。リニアモーターによるリニア新幹線が開業しても新幹線を名乗り続けるつもりなのだろうか。 新幹線が新しいままでいられるかどうかは、静岡県の粘りにかかっている (?) ハイレゾ (High Resolution) 音質の良さ分類。サンプリングパラメータが CD-DA のもの (44.1kHz, 16bit) よりも高いオーディオを指す。 現状でも (再生機器はさておきデータ品質だけなら) 人間の聴覚の性能の限界に到達できてしまうことと、 CD-DA 音質でも十分に品質は確保できていることから、直近で「ハイレゾ」音源のレゾリューションがハイではなくなる時代が来る見込みはあまりない。 ブロードバンド ブロードバンド (24Mbps) インターネット接続サービスの種類。 本来は “大容量通信” ができるものを指す。 対義語は「ナローバンド」。 ADSL などはナローバンドに分類される。 一応、用語の定義としては技術の進歩に合わせて要件も高くしていっているらしいが、十数年やそれ以上以前の時代に「ブロードバンド」として喧伝されていた ASDL や CATV のイメージが強すぎて、「ブロードバンド回線」という呼び方自体にある種の古臭さを伴う低速感が漂っているのは否めない。 ADSL: 面倒な工事は不要。今ある電話回線で使える手頃なブロードバンド。 (中略) 標準的な通信速度は上り512Kbps程度、下り1.5Mbps程度※。 —— https://jp.sharp/mebius/style/guide/frame1.html この先生きのこる 概要 「このさき いきのこる」を「この先生きのこる」と書くと「この/先生/きのこる」に見えてしまう現象。通称「ぎなた読み」(ぎなた読み - Wikipedia)。 ハッシュタグ: #この先生きのこる (#この先生きのこる - Mastodon) 事例 この先生きのこる 「このさき生き残る」「この先、生き残る」などのようにして誤魔化すのが良い。 ところで「きのこる」とは一体なんぞや……? 今の処分っている 「いまのところ わかっている」だが「今の/処分/っている」に見える。 今の処分っている問題点は、overlay2 の関するものなので、zfs を避けると動く —— https://takuya-1st.hatenablog.jp/entry/2020/09/12/010000 大変身に染みる 「たいへん みにしみる」だが「大変身/に/染みる」に見える。 「大変身に染みる」を「だいへんしんにしみる」って読んでしまった —— https://misskey.io/notes/9ltymn4tvl 防カビくん煙剤 ルックプラス おふろの防カビくん煙剤|ライオン パッケージに顔のついた煙のキャラクターが描かれており、これを知っていると余計に「防カビくん」に見える。パッケージ上では改行があるのでギリギリ「くん煙剤」で切れるには切れるのだが…… 『防カビくん煙剤』、「くん」が平仮名のせいでいつも「防カビくん/ケムリ剤」に見えてしまい困っている。 防カビ/燻煙剤 な。 —— https://mastodon.cardina1.red/@lo48576/111764815019041964 この方法学部に在籍 「このかた ほうがくぶ に ざいせき」が「この ほうほうがくぶ に ざいせき」に見える。 「この方法学部に在籍」を「この先生きのこる」みたく読んでしまった。 —— https://twitter.com/esumii/status/1758782252522336515 っと 概要 読点の代わりに (さらに言えば、入れ子になっている文章の中から脱出して戻ってくる際などに) 「っ」を使っているような文章。 例を捏造すると、「この文章は入れ子からの脱出を含んでいる、と捉えることができる」と表記できる文章について「この文章は入れ子からの脱出を含んでいるっと捉えることができる」と表記する用例。 このような文章は商業小説や商業ゲームで見たことがないのに対してネット小説ではしばしば見受けられるため、ある程度一貫した用法で使われている伝統的でない用例として収集することにした。 経緯: https://mastodon.cardina1.red/@lo48576/110964578750657405 ハッシュタグ: #っと (#っと - Mastodon) 免責 本ページは個人的に興味深いと思われる現象について事例の収集と蓄積を試みるものであり、日本語文法への準拠・非準拠、今後における慣習の主流・非主流化などに言及するものではない。そのような議論もありうるが、このページはそのような議論を意図して避け、どちらの立場にも立たないものとする。 また、このページは何らかの悪意をもって人の文章を “晒す” ものではないが、情報の価値と信頼性の担保のため可能な限りソースへのリンクを貼るものとする。このページの情報やリンクを利用して行われる行為の責任は、すべて情報の利用者に帰属する。 レギュレーション 「っ」が先行する擬音語・擬態語や感嘆詞などの一部と捉えられるような「っと」は含めない。 たとえば「小兵といふぢやう、十二束三伏、弓はつよし、浦響くほど長鳴りして、 あやまたず扇の要ぎは一寸ばかりおいて、ひいふつとぞ射切つたる。」のようなものは除外する。 先行する言葉の勢いを表現していると捉えられる「っと」は含めない。 事例 しかし、すぐに彼女は「ふふっ」っと笑い体を震わせた。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817330660722443862/episodes/16817330660880066068 「っと」の「っ」が「ふふっ」の一部でないことがわかる良い例。 ――ぎゅむ、っと。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817330660722443862/episodes/16817330661603910884 「っ」が単に読点を置き換えているとは限らないことを示す例。 先日部長から言われたどうにもならない星に対しては 「ポールシフトを実行する!」 っということがとっても気になっている様子。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817330655983007396/episodes/16817330656381981070 先行する言葉の勢いは「!」で既に表明されているため、後続の「っ」は勢いの表現ではなく「っと」の一部であると捉えられる。 この辺にィ、美味いラーメン屋の屋台来てるらしいっということを踏まえて、いいよ!読めよ! —— https://ncode.syosetu.com/n9077fh/ 正直なところ未だに実感が沸かないほどで、全部夢だっと言われてもちょっと納得してしまう。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817330649055057366/episodes/16817330649055290680 うきゅ~、人からあえてアル君に必要な存在だっと言われるとメッチャ嬉しい。 —— https://ncode.syosetu.com/n4404ew/78/ 聞き覚えがある渋い声、なるほどっと理解した俺はこう返した。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817139555223702439/episodes/16817330647922213009 意識が戻った直後の描写なので、勢いよく「なるほど」と考えたという描写ではなく「っと」でまとまっていると捉えられる。 社交がそれほど好きでもなく親しくもない下位の貴族の夜会にユーリが渋々ながら足を運んだ理由に、なるほどっとハリーは苦笑いをする。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817139558411576826/episodes/16817139558467701506 苦笑いと明記されており、明らかに意気込んで「なるほどっ」と言ったわけではないことがわかる良い例。 電波を探知できるということは……自分が誹謗中傷を送ったことで、探知されるのでは……っと。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817330654728182466/episodes/16817330662939779870 「……」で時間経過のようなものは既に表現されており、「っ」はその役割を重複して担っているというよりは「っと」の一部であると捉える方が自然。 冷やして飲む酒はできるだけ冷やして出すことのほうができるだけ濃くして出すよりも大切であるっと言われています。 —— https://kakuyomu.jp/works/1177354055285867251/episodes/16817330650117752781 (表示の都合で傍点略) はい、無傷の段階で確保できたのは幸運っとも言えるでしょう。 —— https://kakuyomu.jp/works/16817330663314119392/episodes/16817330663346410646 表記と発音の乖離 全員 (ぜーいん)